双子の超未熟児 - 出産と育児のブログ

2017年に超未熟児(879g, 1143g)で生まれた一卵性双生児の超未熟児の出産から発育をつづるブログです

破水からの転院、超早産へ

破水してから、妻はMFICUに逆戻り。私も家に帰るわけにもいかず、A病院に宿泊の許可を取ってMFICUで妻と同じ部屋で一晩を過ごしました。

 

その場で自分の母親と、妻の母親それぞれに電話します。電話するとき、私は頭の血が引きすぎて椅子に座ることもままならず、病室の床の冷たいタイルの上に仰向けになりながら、2本の電話をかけました。ショックで声もうまく出ないほどでした。

 

妻の母親は、近い場所に住んでおり、電話してから1時間ほどして病院に駆けつけてきました。昼間、ついさっきまで見舞いに来ていて、楽しく談笑していた時とは状況が一変しています。妻はずっと泣いています。

 

私の母親は遠方在住ですが、翌日の新幹線に乗って、東京に来るという話になりました。私は自宅で犬を飼っているのですが、家のことと犬の世話と、あとは何かあったときにすぐに動けるようにとのことでした。

 

 

翌朝、ほとんど眠れないままMFICUの部屋がまた慌ただしくなります。朝を迎えてから、各種検査がまた始まり、お腹の赤ちゃんのエコー検査も行われます。お腹の赤ちゃんは2人とも、まだ生きています。幸い、破水した方の羊水はまだ残っているようです。

 

続けて、別の病院に連絡をして受け入れてもらえるかの打診が始まったとの説明を受けました。

「え!?これから転院?」
「そんなことって、あるのか?」

 

看護師さんに詳しく聞いてみると、

  • A病院では現在、未熟児用の保育器が満床で受け入れできない
  • 来週明けには空きが出るかも知れない
  • 都内で転院できる病院を探している(今朝の段階で決まっていない)

 

状況がよく分かっていなかったのですが、全ての設備が整っていて、病院の評価も高く、「ここなら大丈夫」と、A病院を選んだのですが、何のことはない、NICU(24時間対応の赤ちゃん向け集中治療室)が足りず転院を余儀なくされてしまいました。

私自身、これまで病院に長期間お世話になった経験がなく、満床で転院なんてケースは、全く想定していませんでした。でも、一刻を争う事態です。色んな事が、同時並行的に、勝手に決められていきます。それには従わざるをえません。

 

私はこの日以降の予定を2週間分、全てキャンセルしました。

会社のメンバーや、業務上近しい人には業務上支障が出るため、簡単に事情を説明しましたが、取引先や知人には、とてもじゃないですが気を遣わせてしまうので言えません。「どうしても外せない用事ができた」と、うやむやにする他ありませんでした。

 

結局、1時間ほどして受け入れ先の病院(B病院)が決まりました。救急車に搬送される時も、妻はずっと泣いています。私はMFICUの部屋にある荷物を全部引き取る必要があるため、救急車に乗らずその場で別れることに。

これからどうなるか全く分からない、先が真っ暗な状態で、病院名と産科の先生の名前だけ聞いて、荷物の撤収作業をして自宅へ持って帰り、B病院へ移動をするのでした。

 

 

 

その後、2時間ほど経過してB病院に到着しました。最初の印象は、「ボロい・・・」

A病院は建物を新築したばかりで、施設も設備もとても新しい病院でした。一方、B病院は昔からある有名な大病院でしたが、とにかく施設の落差に不安になりました。

 

受付で病室の場所を聞いて、MFICUに入ります。
中に入ると、すでに中に入っていた妻と、妻の母親が顔面蒼白でこちらを見ています。

話を聞くと、B病院に搬送されてすぐ、最初に手術台に乗せられ、いろいろな検査があって「これから手術が始まるのか?」という不安と恐怖でいっぱいになったそうです。結局、緊急手術の必要性はないと判断されたようで、病室へと移動してきたのでした。

 

こちらに来る救急車が移動中にかなり揺れたらしく、こちらでエコー検査を受けたところ「羊水がほとんど残っていない」との説明があったとのこと。

「え!?今朝までちゃんとあったのに、無くなった??」
「お腹の赤ちゃんは、どうなるの?」

妻と母親の印象は私と同じで、「この病院で本当に大丈夫なのか?」
話を聞くにつれて、不安しかありません。

 

しばらくして、産科の先生が病室に入ってきます。
B病院の治療方針を聞いたのですが、A病院とは全く違ったものでした。

 

・A病院
できるだけ羊水を子宮に残しておく。1日でも長く赤ちゃんをお腹の中に残してあげる。今は26週だが、何とか28週までは持たせたい。
そのため歩行は禁止、尿管を付けて、ベッドで絶対安静。お腹の張りや陣痛を起こさせないため張り止めの点滴、抗生剤を使って時間を稼ぐ。

 

・B病院
赤ちゃんの肺を成熟させるためのステロイド筋肉注射を24時間間隔で2回打った後は、張り止めも抗生剤も止める。体の自然の反応を待ち、陣痛が始まって出産になるなら、そのまま外に出してあげてNICUで蘇生させる。
そのため病室では自由に過ごして良い。トイレのために歩いても良い。食事も普通にとる。

 

話を聞いている途中、治療方針が違いすぎてかなり不安になってしまい、気分が悪くなって、その場にまた座り込んでしまいました。

 

私は知り合いに、ここまでの早産をした人はいません。単に話を聞いていないだけかも知れませんが、安定期まで来たら、多少の経過の善し悪しはあっても、普通に生まれるものだとばかり考えていました。それが今、全然違うシナリオになっています。

 

これからどうなるのか、全く分かりません。
暗い将来しか、見えません。
何の解決策も分かりません。
妻と私は、ただ泣くしかありませんでした。