双子の超未熟児 - 出産と育児のブログ

2017年に超未熟児(879g, 1143g)で生まれた一卵性双生児の超未熟児の出産から発育をつづるブログです

退院直前、26週目の破水

A病院でのシロッカー手術は無事終わり、MFICU(母体胎児集中治療室)に部屋を移動して経過を見ます。手術が終わった当日は、麻酔が切れてから傷口の痛みやお腹の張りで、かなり大変だったそうです。

手術後は妻の母親に来てもらっていましたので、何とか面倒を見てもらえましたが、私は仕事のため外出しており、大変だった話をその日の夜、面会に行った際に聞かされました。

 

手術が終わって2日後には尿管も外れ、妻は点滴のガラガラを引きながら自由に動けるように。その後は、お腹の張りもなくなってきたようで、ウテメリンを点滴しながらの生活が始まりました。

 

私は毎日、病院に面会に行って、妻がだんだん元気になってくる姿に安堵しながら、点滴はいつ外れるんだろう、退院はいつになるんだろう、ということをいつも話していました。
ウテメリンは血管をダメにしてしまうため、注射針を刺している場所を4~5日に1回変えますが、刺しているところの皮膚はしばらく赤く腫れていますし、注射針の後も結構残ります。痛々しい姿を見ていると、何とも言えなくなります。

 

妻は注射針が苦手で、出来ることなら刺し替えたくないといつも言ってましたが、まっすぐで太い血管があまりないそうで、刺す腕が右に左に変わってました。また看護師でも針を刺す上手い下手があるようで、何度か刺し直しもあったそうです。

 

手術後10日たって、ようやく点滴が外れる日がやってきました。ウテメリンが服薬に変わり、1日上限6回の服薬をして、特に問題なさそうだったら自宅療養に変わる、、そんな話で、
「あぁ、ようやく普段の生活に戻れる、、」
そんな安堵の気持ちでいっぱいでした。

 

この間の子宮頸管長は、平均3.0cmほど。元々は4.0cmあって入院時は1.2cmですから、元に戻ってはいませんが、随分安定していました。

 

 

そして週末。

 

私は特に自宅でやることもないので、昼と夜に面会に行って、その間は近くで仕事をするという週末の過ごし方をしていました。

妻はMFICUを出て、通常の4人部屋に移されていました。点滴のガラガラもなく自由でいられます。昼間は、妻の母も来ており、たわいもない話をしながら妻が元気なことを確認して、そのまま仕事へ。週明けの月曜か、翌日火曜には退院できると先生から話をもらっていたので、家で療養生活をする準備をしようと思っていた矢先のことでした。

 

夕方、面会に行くと、妻が「さっき、ここ(ベッド)で本を読んでたら、お股から水みたいのが出てきた」と一言。全然痛くないし、また血が出たわけでもないそうで、「一応、看護師さんに報告したよ。」という話でした。

ちょっと嫌な予感はしましたが、痛みもないようだし、ベッドで安静にしているし、別に大したことはないだろうと思っていました。しばらくして、看護師さんがやってきて、「ちょっと検査に来てもらえますか?」との話。

 

「ちょっとヒヤっとするなぁ、、」とか思いながら、検査室へ。すぐに結果が出るということで、私は検査室の外で2~3分ほど待たされました。妻は検査室の中で、医師や看護師と話をしています。

 

そして、名前を呼ばれて検査室の中へ。

入った瞬間、妻が目を真っ赤にして大粒の涙を流しながら、嗚咽しながら私の方を見ていました。

「ああ、破水したのか。。」
一瞬で、分かりました。

 

テーブルの向かいに座っていた医師から、開口一番告げられました。
「完全破水です。」

妻はMDツイン(一絨毛膜二羊膜性双胎)といって、1つの胎盤を双子で共有し、2つの羊膜つまり二部屋に分かれている状態の双子です。その内、一方の子宮口に近い方の赤ちゃんの羊膜が、破れてしまったのです。
(完全破水とは、子宮口側の羊膜が破れることを意味します。)

 

こちらのブログに詳しく書かれていますが、このシリーズをもっと前に見ていたら、、と思ってしまいます。

胎嚢や羊膜の数によってリスクが異なる双子妊娠。NICUのある施設へ転院することに… by pika - 赤すぐ 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

以下の画像で言うと、MDツインとは真ん中のケースです。(画像出展:赤すぐ)

双子の妊娠3タイプ

 

 破水を先生に告げられた時、

「え?」

聞いた瞬間、私はそれ以上のことが言えませんでした。というか、何も言葉が出ませんでした。どうなるか全く分かりませんでした。

 

妻は泣きじゃくっていて、病院のスタッフはかなり重苦しい雰囲気になっています。破水したらまずいと、ずっと前から聞かされていて、この瞬間、何の実感もなかったのですが、じわじわと恐怖感に襲われます。

「これから何が起こるのだろう?」
「どういう問題が出てくるのだろう?」
「お腹の赤ちゃんは死んでしまうのだろうか?」
「重い障害を持って生まれてきたらどうしよう?」
「なんで破水してしまったんだろう?」
「あれがマズかったのか?これがマズかったのか?」

妊娠出産について全く無知の私は、今起こっていることで次々と自分に問いかけますが、全部何の答えも出せません。

 

妻は泣きじゃくりながら緊急でMFICUに戻されます。目の前で、張り止めや抗生物質の点滴、尿管、張りの状態を見る機械や胎児の心拍を計測する機械など、フル装備で体中にどんどん計器が取り付けられます。

 

通常、破水すると陣痛が来ます。陣痛は始まると止められません。1kgにも満たないような赤ちゃんがそのまま生まれてしまうと、肺が未成熟のため窒息死します。そのため早産児は、最初に呼吸を助ける必要があります。赤ちゃんの肺の成熟を早めるためのステロイド筋肉注射が打たれました。24時間後にもう1本打ちます。この後24時間もてば、生まれてからの赤ちゃんの呼吸を助けることが出来ます。

 

妻はパニック状態で周りの看護師さんに「何でもするから赤ちゃんを助けて下さい」と言って、大泣きしています。それを見ながら、私はどんどん焦ってきて、体中に汗が吹き出てきます。

 

妻の検査のために私は一度、MFICUから外に出されました。
「お腹の中の双子が2人とも死ぬかも知れない」という現実を突きつけられて、私は頭から血の気が引いてしまい、気分が悪くなって、その場で座り込んでしまいました。「大丈夫ですか?」とその場にいた看護師に血圧を測られる始末でした。

 

「どうなるんだろう?」
何の答えも分からないまま、長い夜を過ごすことになりました。