双子の超未熟児 - 出産と育児のブログ

2017年に超未熟児(879g, 1143g)で生まれた一卵性双生児の超未熟児の出産から発育をつづるブログです

双子の未熟児出産(TTTS・双胎間輸血症候群)

手術日が確定して、あとはその日を待つのみとなりました。
日付が変わるに従って、妻の緊張が高まっているのがよく分かります。

 

「それはそうだよな、お腹を切るんだからな、、」

そんなことを考えながら、妻が精神的に一気に落ち込んで泣き出す時間が1日に何度かやってくるので、そんな時にそばにいれるよう、2週間の間、B病院のMFICUで一緒に過ごしました。お風呂だけ困りましたが、近くに昔ながらの銭湯がいくつかあり転々としました。

 

産科の先生や助産師さん・看護師さんには、「旦那さんはお仕事大丈夫なんですか?」とよく聞かれましたが、「インターネットの仕事なんでどこでも出来るんですよ」なんて言いながら笑ってました。きっとニートと思われていたに違いありません。

今の仕事は10年以上やってますが、この2週間ほど、今の仕事のスタイルで良かったと心底思えたことはありません。

 

入院して10日もした頃には、破水した方の赤ちゃんの体がだいぶ固定されてきたのが分かります。羊水がある方は毎回、心音を聞くときに場所が変わるのに対して、ない方はほぼ同じ場所で心音が聞けます。この頃には、早く手術日が来てくれないかと思うようになっていました。

 

容態が安定しているとは言え、やはり毎回のエコー検査や血液検査、心音検査の時には、何か異変が起こっていないか、赤ちゃんは元気でいてくれているかが気になります。今回も大丈夫だった、ああ良かった、あと少し頑張ってくれ、ずっとそんな心境でした。

 

そして、その日がやってきました。

  

手術予定日の2日前、ちょうど28週0日になる前日のこと。
夜になって、妻が「また羊水が出たっぽい」との発言。。。
2度目の破水が起こってしまいました。

 

近く来るかもと思っていましたが、2日前とは。。
B病院での入院中は、ずっとマグセントを点滴しており安定してくれていたので、ある程度は、妻も私も冷静に受け止めました。

このことすぐに助産師さんに伝えたところ、「分かりました」との返答で、特に慌てた様子もなかったため、あと2日は何とかなるかと思いながら、就寝しました。

 

 

その夜、妻に急に起こされました。

「お腹が痛い」

 

私は睡眠薬を飲んで寝ていたのですが、それを聞いて一発で目が覚めました。
「このタイミングで陣痛?」
「一時的にお腹が痛いだけ?」

 

よく分かりませんでしたが、助産師さんに伝えたところ、またもや冷静に「分かりました」との返答。そこからしばらく様子を見ていましたが、だんだんお腹の痛みが大きくなってきたため再度助産師さんを呼んだところ、計器を取り付けてお腹の張りや血圧、心音などを計り始めました。

 

その後、更に痛みが増して、間隔も短くなっていきました。当直の産科の先生も診に来てもらい、エコーの機械も出てきて状況を判断してもらいましたが、
「陣痛ですね。手術します」


いきなり、帝王切開の手術が決まりました。

 

この日はたまたま、いつもエコーで診てくれていた産科の先生が当直していて、麻酔科の先生など帝王切開をする人員は夜間でもいたのですが、この日は週末の深夜で、小児科の先生が1人しかいないとの事で、双子の処置が適切にできるよう、もう1人に緊急で来てもらうまでの1時間、分娩を待たなければならないとの説明を受けました。

 

産科の先生はその後、手術の準備のために別の場所に行ってしまい、助産師・看護師さんが妻の面倒を見てくれます。

「痛い!!!!!」
妻が、何度も叫びます。とにかくお腹の痛みがかなり辛いようで、5分に1回の頻度で陣痛がやってきます。

 

助産師さんに教えてもらって、陣痛時は子宮口の出口を押さえておくと楽になるとのこと。そのとき私にできる唯一のことで、ずっと上から押さえながら、もうちょっと頑張ってくれ、早く先生来てくれと必死で願いながら、時間が経つのを待ちました。

 

幸い、予定より早く先生が到着して、病室を出ることになりました。妻はこのときにはすでに決心がついたようで、泣くこともなく、

「これから生むんだね。やっと双子ちゃんに会えるんだね。」

と、手術室に運ばれていきました。

 

 

妻が運ばれて病室に静寂が戻りました。私は呆然としながらも、手術後はMFICUの別の部屋に移るということで、荷物をまとめて移動する作業に入りました。

手術時間は1時間半程度と聞いていました。部屋の移動後、運を天に任せ、私は倒れるように寝込んでしまいました。

 

 

ほんの短い間の仮眠でしたが、助産師さんが病室に入ってきて目を覚ましました。

赤ちゃんが2人とも無事生まれたこと、その後の経過はまだ分からず、後で先生から説明があること、2人の出生時の身長・体重などが知らされました。

双子の出生体重

 

想定通り、性別は女の子でした。
姉が879g、妹が1143g。

 

体重を見た時、どきっとしました。思ったより小さい。大丈夫だろうか。
妹の1143gでもかなり小さいのですが、姉の879gは生きていられるのか?姉はエコー検査では1000g前後と聞いていたので、思ったより小さく、心配で仕方がありません。

 

その後しばらくして、妻が戻ってきました。横になったまま部屋に運ばれてきた時に目が合いましたが、麻酔の影響か、妻は無表情のまま何も言いませんでした。

痛み止めの点滴が取り付けられ、麻酔が切れると痛くて眠れなくなるかも知れないので、効いている間は少し休憩しましょうということで、仮眠を取ることになりましたが、少し経つとすぐに麻酔が切れてきました。痛み止めの点滴もしてもらいましたが、妻は痛みで全く眠れなかったそうです。

 

出産した時、妹は勢いよく泣いて体が赤かったそうですが、姉の方は泣くこともなく、体全体が黒っぽかったと聞きました。大丈夫だろうか。健常だろうか。どうか何事もありませんように、、ずっと願っていました。

 

 

朝方になり、先生からの説明があるということで、小児科に呼ばれました。初めて、NICU(赤ちゃん用の集中治療室)に入ります。最悪の場合も想定して、その気持ちで説明を聞きに行きました。

 

小児科の先生の説明によると、今のところ、2人とも救命に成功。

未熟児で生まれた赤ちゃんは呼吸が出来ないので、口から気管チューブを挿管されていること、今のところ容態は落ち着いているが、姉の方は一時、心拍が30くらいまで下がったため心臓マッサージを行ったこと、また貧血のため輸血も行ったこと。

 

そして、双胎間輸血症候群(TTTS)の症状が出ており、2人の体重差や検査内容から、間違いないだろうという話でした。妊娠中、TTTSの話は全く聞いたことがなかったので、頭の中は「???」でした。

 

以前、ご紹介した以下のサイトで、詳しい説明がありますので、ここでは紹介のみしておきます。

胎嚢や羊膜の数によってリスクが異なる双子妊娠。NICUのある施設へ転院することに… by pika - 赤すぐ 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

双胎間輸血症候群(TTTS)

 

TTTSで起こりやすい現象としては、以下の通りです。姉も妹も、下記の症状が出ているという説明、あとはどうしても体の小さい方を心配してしまうが、実は大きい方も心不全など体調が悪くなりやすいなどの話を受けました。

 

供血児(姉・小さい方)

  • 貧血、低血圧
  • 乏尿、羊水過少
  • 発育不全
  • 腎不全

 

受血児(妹・大きい方)

  • 多血、高血圧
  • 多尿、羊水過多
  • 心不全 

 

 

実は、妻が入院する前(23週くらい)ですでに、双子であることを考慮しても、お腹がすごく大きくなっていました。21週で姉家族と会った際、姉の臨月よりも腹囲が大きくなっているという話があって、「これから出産が近づくと、どこまで大きくなるんだろう?」と心配していました。

 

手術後に、たまたま執刀医の先生に廊下で会った時に話を聞くと、羊水があった方の赤ちゃん(妹)の羊水がめちゃくちゃ多かったという話を聞いたので、ああそうか、やっぱりTTTSを発症したためにお腹が大きくなるスピードが増したのだろうと理解しました。

 

破水したときに、「ああすれば良かった」「こうやれば良かった」「何が原因だったんだろう?」など解決しない問題ばかり考えて後悔してばかりでしたが、結論としては、TTTSを発症していた時点で、遅かれ早かれ、妻のお腹は張りに耐えられなかったのかも、と考えるに至りました。

 

未熟児で生まれた赤ちゃんは、まずは生後72時間を無事に切り抜けることが1つの山場、その後、7日間の間、容態を安定させることが大事とのこと。

 

保育器に入っている赤ちゃんを、初めて見ました。最初の救命・蘇生は上手くいってくれた。体はどこも欠損していません。五体満足で生まれてくれています。涙が出てしまいました。

今後の後遺症や障害などは全く分かりませんが、今のところは何とか持ちこたえてくれています。

 

体はかなり小さくて、口の中に気管チューブを入れられ強制的に呼吸させられています。点滴で抗生物質・水分や栄養を投与され、体中に計器を取り付けられ、姉は輸血中です。

まだまだ、自分の力で生きていけるにはほど遠い状態ですが、目の前にいるのは紛れもない我が子であり、妻と私の分身です。

まだまだ先は長いですが、お腹の中にいるときよりも、抱えていた不安や心配がかなり無くなって、肩の荷が下りた、そんな心境でした。そして、疲れがどっと出てきました。

 

上が姉、下が妹。身長はそれぞれ33cm・36cm、普段は足を折りたたんで寝ているため見た目の大きさは22~23cmくらい。本当に小さいですが、それでも生きてくれています。

姉879g、超低出生体重児

妹1143g、極低出生体重児