早産児/低出生体重児の統計・原因・死亡率について知ったこと
B病院の産科の先生によると、
- 通常は破水してしまうと1週間以内に陣痛が起きて分娩しなければいけない
- 全体の2/3はその方向で進む
- 張り止めをしても出産を遅らせる効果はない
- 分娩方法は帝王切開
- 今の双子の週数・体重だと、9割以上が救命できる。(逆に言うと、1割が亡くなる)
とのこと。
遅かれ早かれ、このかなり早い段階での分娩/出産という選択肢しかないことになります。
続いて、小児科の先生から説明がありました。今の週数で赤ちゃんを産んだ場合の資料を貸してもらえました。それは、私達にとってはとても受け入れがたい内容でした。
不安ばかりが頭の中でぐるぐると回り続け、涙が止まりませんでした。
【目次】
低出生体重児・早産児
低出生体重児・早産児の資料を読み込みました。理解を助けるために「用語の定義」を書いておきます。
- 超早産児 = 在胎22週0日~27週6日(つまり在胎28週未満)
- 早産児 = 在胎22週0日~36週6日(つまり在胎37週未満)
- 後期早産児 = 在胎34週0日~36週6日
- 正期産児 = 在胎37週0日~41週6日
- 過期産児 = 在胎42週~
後期早産児とは、ほぼ正期産の37週に近い週数でありながら、どうしても正規産児と比較して合併症/発達遅滞などの割合が多くなってしまうため、このように呼ぶそうです。
低出生体重児
次に、「低出生体重児」についてです。上ではあくまで在胎期間の長さで分類されていましたが、それとは関係なく、出生時の体重で分類されます。
- 低出生体重児 = 出生体重2500g未満
- 極低出生体重児 = 出生体重1500g未満
- 超低出生体重児 = 出生体重1000g未満
うちの双子の赤ちゃんの体重は、エコー検査の推定値なので、どうしても誤差はあるのですが、大きい子が1000-1050g程度、小さい子が900-950g程度です。
つまり、上記リストの「極低出生体重児」「超低出生体重児」の両方に分類されることになります。
以下、早産児の割合、低出生体重児の割合を示すグラフです。少し古く2010年のデータとなります。
在胎期間別:早産出生割合
- 22週~28週未満 5%
- 28週~32週未満 8%
- 32週 4%
- 33週 5%
- 34週 9%
- 35週 18%
- 36週 51%
うちは23週目で切迫早産で入院、26週目で破水。どちらにしても早産の中でも5%に入るような、少ないケースであることが分かります。20人に1人の割合、、、なんでこんなことになったのだろうと、色々と振り返って後悔する材料を探してしまいます。
出生体重別:低出生体重児割合
- ~999g 3%
- 1000~1499g 5%
- 1500~1999g 13%
- 2000~2499g 79%
同じく1500g以下というくくりで見ると、計8%程度というとても少ない割合に入ってしまいます。妊娠・出産のことは、自身がこんな経験をするまで全く知りもしませんでしたが、例え低出生体重(2500g未満)で生まれるとしても、全体の約8割、ほとんどの赤ちゃんが2000gを超えていることを知りました。
しかしこの現実も、受け入れていかなければいけません。
早産・低出生体重児の原因
母体が原因になるものとしては、子宮筋腫・子宮奇形・子宮頸管無力症(私の妻の場合はこれが原因でシロッカー手術を受けました)など子宮がもともと疾患を持っているケースが多いそうです。
そして怖いケースとしては、細菌感染です。感染により炎症を起こしている場合、細菌を殺すために白血球が集まってきますが、それが出す物質などで卵膜に損傷が起こったり子宮収縮が発生し、破水に向かうそうです。
B病院では、こういった体の基本的な反応を薬で押さえ込まないようにし、陣痛が起こってしまったなら外科的・人工的な方法で赤ちゃんを蘇生させる方針をとっています。
今の週数で破水してしまうのは普通はないそうで、卵膜が細菌感染により炎症を起こして破水したのであれば、中にいる赤ちゃんが危険ということになるそうです。
B病院がすぐにでも分娩をした方が良いと勧める根拠はここで、帝王切開して外に出してしまえば、すでにNICUの準備も整っているためいくらでも蘇生措置をとることが出来るとのことでした。
しかし、シロッカー手術の時に培養検査で細菌感染がないとの診断を受けました。ずっと入院していたため、どこで感染する可能性があるのだろう?と考えてしまいます。
極低出生体重児の死亡率
次に、何らかの要因でかなり早く生まれてしまった低体重児(極低出生体重児:1500g未満で出生)が、どれくらいの割合で亡くなってしまうのか、2005年のデータをもらいました。
以下、極低出生体重児の新生児死亡率です。
- 1000~1499g 2.6%
- 500~999g 10.4%
- 500g未満 45.2%
手元には1990年からのデータがあり、1990年だと1000~1499gの死亡率が6.9%ありますから、2005年までの15年間で、医療の発展でかなり多くの赤ちゃんの命を救うことができるようになったことが分かりました。
今は2017年、当然2005年当時と比べて更に救命率がアップしたことは間違いないでしょうが、それでも上記数字に我が子の体重を当てはめると、1割の確率で死亡してしまいます。
運良く蘇生・救命できたとしても、その先に何らかの後遺症が残る可能性もあることを考えると、少しでも長く子宮の中にいてくれる方が安心ではないか、今のところ、血液検査の結果では、細菌感染の兆候は見られていないことから、何とかこのまま妊娠を継続させることが出来ないかと考えるに至っています。
超低出生体重児(1000g未満)の発達予後
平成24年度の厚生労働科学研究の報告書で、2005年出生の超低出生体重児(1000g未満)が出生後、予後観察されて3歳、6歳時点での後遺障害発生率についてのレポートがあります。
以下、数字を丸めていますが、主なところで
3歳児
- 脳性麻痺 10%
- 知能発達障害(遅滞)15%
- 知能発達障害(境界)19%
- 弱視 4%
- てんかん 3%
- 気管支ぜんそく 11%
6歳児
- 脳性麻痺 17%
- 知能発達障害(遅滞)20%
- 知能発達障害(境界)24%
- 弱視 12%
- てんかん 3%
- 気管支ぜんそく 9%
脳性麻痺や知能発達障害の認知が、3歳児よりも6歳児の方が多くなっている要因としては、子供が小さいうちは運動能力や知的能力が健常なのかそうでないのか、親や専門家が判断しづらいためと考えられます。
調査は2005年のもので、今はもっと数字が改善しているはずですが、3歳児や6歳児のフォローアップは、どうしても3年、6年たたないと分からないことになりますので、この数字は現時点で最新に近しいと言えると思います。
この統計は5年ごとに取られているようですが、本音のところでは、2010年版というのが存在すれば(2010年出生の6歳児は2016年なので存在するはず)もっと理解がしやすかったと思っています。Webで調べてみましたが、これだというものは、見当たりませんでした。
この統計のサンプリング数は表に記載の通りで約300~390件となり、数字としては少なすぎる事はない思いますが、先生に聞いたところ1000g未満ということは400gとか500gで生まれるなど、さらに超早産の子も含まれるため、必ずしも信憑性の高いものではないと言われました。確かに、500gで生まれた子と1000gの子とは、それなりの差が出るはずです。
またこの資料には、「フォローアップ率が低く、報告された結果の信頼性は必ずしも高いとは言えません」という注釈が付いています。推定にしか過ぎませんが、この意味するところとして、我が子が超早産で生まれても、予後が良好で後遺症や発達障害が全く問題なさそうだったら、先生にわざわざ何年も診せに行かないよな、と思いました。つまり、健常でない子が集まった統計になっているかも知れません。
表に記載されている、知能発達障害の「遅滞」「境界」の違いについては、私が調べた範囲内なので不正確かも知れませんが、
- 遅滞 → IQ70未満を精神遅滞と言い、理解力・会話力・思考能力などが年齢に比して低く、家族を始め周囲の支援や理解が必要となる。同じ遅滞でも重度・中度・軽度に分類されるが、ここでは詳細省略。
- 境界 → IQ70~85を境界領域知能と言い、明確に知的障害というレベルではなく自立的な生活を送ることも可能と考えられる。
詳しい情報を知りたい方は、専門家の方に聞くのが良いと思います。
「遅滞」「境界」は、互いに独立した関係(つまり「遅滞」であり「境界」でもあるという状態は存在しない)と理解しているためパーセンテージは単純に足し算できると考えていますが、先生に聞いたところ「確認を取ってみる」ということで、明確な回答は得られていません。
また合併症状を起こしている子も含まれるため(例えば、脳性麻痺と知能発達障害の両方を合併しているなど)、1000g前後の低出生体重児がここの数字に表れているように、それなりの確率で後遺障害を持つかというと、そうとも言い切れないとのことでした。
子の成長の過程で、親や専門家が過敏になってしまって、大した症状でもないのに境界領域知能の範疇に入れてしまったり、正期産だったとしても最初から後遺症を持っていた可能性もあります。
ただ、その分を差し引いたとしても、私たちの場合、今の週数で分娩してしまうことは、とてもリスクの高い出産になると考えました。
できることなら、少しでも在胎期間を延ばしてあげたい、少しでも母親のお腹の中で体重を増やしてあげたい、 少しでも死産のリスクや後遺障害のリスクを減らしてあげたい、そのためにどのように動けば良いのか、そういうことを、ずっとぐるぐると考えていました。