双子の超未熟児 - 出産と育児のブログ

2017年に超未熟児(879g, 1143g)で生まれた一卵性双生児の超未熟児の出産から発育をつづるブログです

未熟児・早産児に起こりやすい事いろいろ(NICUでの治療)

双子ともNICUの保育器での治療が始まりました。

小児科の先生からは、分娩前からある程度の資料と情報をもらっていました。NICUでは、改めて双子の状態と今後の治療、また起こりうる症状についての説明を受けましたが、それをまとめて書いておきます。

 

 

 

呼吸

赤ちゃんはお腹の中にいるときは、臍帯から酸素や栄養が供給されますので、呼吸をする必要がありませんが、生まれた後は自らの肺で呼吸しないと、死んでしまいます。

 

正期産の赤ちゃんは大きな問題はないのですが、早産で生まれると、肺が十分に広がらず自然に呼吸ができないため、補助が必要になります。(新生児呼吸窮迫症候群)

 

うちの子は2人とも、補助として口から気管チューブを差していました。肺の手前まで管が伸びて、強制的に空気を送り込むことで無呼吸になるのを防ぐ効果があります。

ただ、気管チューブをずっと差していると、気道や肺へのダメージが溜まってくるため、良いタイミングを見計らって鼻からの呼吸器(経鼻陽圧換気)に切り替える必要が出てきます。

 

うちの姉妹は、生まれてから9日後、12日後にそれぞれチューブが外れて鼻の呼吸器に変わりましたが、2人ともしばらくの間は無呼吸になることが何度もあり、NICUに行くたびに呼吸の状況を心配しながら聞く毎日でした。

 

看護師さんは「呼吸を忘れる」という表現をされていましたが、呼吸中枢が未発達なために、寝ている時に止まるそうです。呼吸が止まると心拍数が下がるそうで、普段は140-170くらいある心拍が2桁あたりまで下がってくると無呼吸になっているということです。赤ちゃんに指でトントンして起こしてあげると、また呼吸が始まるそうです。

 

血液循環

赤ちゃんはお腹の中にいるときは、肺を機能させる必要がありません。そのため、心臓から全身に血液を送る大動脈と、心臓から肺に血液を送る肺動脈の間に動脈管というバイパスが通っています。

 

動脈管は、正期産の赤ちゃんでも生まれた時は開いており、通常は2~3日程度で閉じるそうなのですが、早産の赤ちゃんは閉じにくい傾向にあります(未熟児動脈管開存症)。

これが閉じないでいると、全身に血液が回らず、臓器の働きにも悪影響が出てしまいます。動脈管は呼吸との相互作用が大きく、我が子も、動脈管が閉じたと思ったら、エコー検査したら徐々に開いてきているのが確認できたとか、これを改善するためにインドメタシンという薬を使うのですが、副作用でおしっこが出にくくなるそうで、体のむくみが出てきたりするので、先生もかなり注意して治療を施しているようでした。

  

脳出血

未熟児・早産児は、成人に比べ血圧がとても低く、また正常血圧の範囲も狭いそうです。少しの血圧の変化やストレスの影響で脳出血を起こしやすい状態と言われており、これが生後72時間を無事に過ごすことが1つの山場と言われているゆえんとなります。脳出血を起こすと、小児麻痺など重い後遺症の原因になります。

出生してから泣いたり体を大きく動かしたりで安静を保てない場合は、弱い鎮静薬や麻酔などを使って赤ちゃんを眠らせて管理する場合もあるそうです。

 

 

栄養と消化

早産の赤ちゃんには、点滴で必要な栄養素を与えるのですが、それだけでは大きくなることが出来ないので、口からチューブを入れて胃まで直接届くようにし、授乳をします。もっとも赤ちゃんに適した栄養を与えられるのは母乳であり、また免疫力を高めるためにも大事です。(母乳は人工乳に比べ、消化管に炎症や壊死を起こす腸炎のリスクが1/3に減るそうです)

 

分娩前は妻も「母乳が出る気がしない」と言ってたのですが、帝王切開が終わって3日後には出るようになってきて、今では1回の搾乳で60~80mlくらい出るようになりました。これは看護師さんいわく、良く出ている方だそうです。人間の体というのは、不思議なものです。

 

授乳を開始して、初めは1回あたり1mlだったのが2ml、3mlと増えてきて、ほんの少し増えただけでも私たち夫婦にとってはとても嬉しいことでした。4~5日ほど経ったころ、小児科の先生が申し訳なさそうに、栄養の補助として「HMS-2」とい粉末を母乳に混ぜたいという申し出がありました。

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HMS-2はサプリという位置づけとなり医療行為にならないため、購入はすべて自腹となります。60包の小分けで入っており、30mlの母乳に1包混ぜて使うそうです。従って、けっこうすぐに無くなるようですが、1箱5000円+消費税となります。退院するまでに、2人分でたぶん10万円くらいはかかるだろうとの話でした。

 

我が子の将来のためを思えば、安い出費です。逆に、これを断る親なんているんだろうかと不思議に思いつつ、「全く問題ありません、買います」という返答をして、早速売店で買ってきました。

 

後でAmazonなどで安く売っていないのかなと思って調べてみたのですが、産科や小児科のある大病院の売店でしか売っていない代物のようで、ネットで探して見つかったのは、メルカリなどで余ったものの中古品のみでした。(中古品はちょっと気が引けます)

 

HMS-2は、早産児の中でも特に小さい赤ちゃん用に開発されたもののようで、カルシウムなど赤ちゃんが早く大きくなるために不可欠だけども不足しがちな栄養素を効率よく与えることが出来ます。

ただ味がマズいそうで、チューブで飲ませる場合には使えるそうですが、もっと赤ちゃんが大きくなって経口で母乳を与えることになった際は、旧商品のHMS-1という粉末を使うそうです。

メーカーの森永のサイトで資料を見つけましたので貼っておきます。HMS-1はありましたが、HMS-2の方はありませんでした。

https://morinagamilk.co.jp/corporate/csr/pdf/2013/11_14.pdf

 

 

感染症

NICUでは赤ちゃんが感染症にかからないよう厳重に管理されていますが、それでも無菌室という訳ではありませんので、時に体調を崩すときがあります。現にうちの場合も、双子の姉が2週間ほど経った頃に血液検査でCRPが上がってきて、大事をとって抗生物質の点滴をしました。

原因は分かっていないのですが、輸血なのか、栄養素を与えるための点滴なのか、風邪でも引いたのか、、こういうのは本当に心配になります。

 

黄疸

赤ちゃんは肝臓の機能が未熟で、黄疸が出やすくなりますが、これを放置しておくと黄疸の原因であるビリルビンという成分が血中に増えてしまい、脳性麻痺の原因になることがあるそうです。これを予防するために、青い光を当ててビリルビンを分解する治療をします。

うちでは生後10日くらいまでは頻繁に青い光を当てているところを見ましたが、これをやっている時は目元にアイマスクをして目隠ししていて日焼けサロンみたいだったので、妻と「また今日も日サロしてるね」なんて言いながら、笑ってました。

 

未熟児網膜症

未熟児は、弱視になる傾向が強く、最悪の場合は失明というケースもあるそうです。これは目の網膜の血管が、成長を止めてしまったり、また網膜剥離や眼底出血を引き起こすことが原因となっています。

これは継続的に検査が必要だそうで、うちの子も3週目に入ってから週に1回のペースで検査することになりました。目に点眼をした後、まぶたを専用の器具で開き、瞳孔を通して眼底に光を当て状態を観察するという、赤ちゃんにとってとても負担の大きい検査となります。

どの子もギャン泣きするということで、検査中は親がNICUに入ることが許されません。まだ現段階で経過が良好かどうかも分からない状態ではありますが、先日1回目の検査をやって、今のところ大きな問題はないとのことでした。

 

ただ、この検査後に、疲労によって無呼吸になったためか、姉の方で動脈管がまた開いてきたという話も出てきて、全部が順調に進むことがなかなか無いなと思いながらも、少しずつでも良いから順調に何事もなく進んでくれたらと願っています。